歌舞伎風俗通信

歌舞伎コラムです。
以前某雑誌に連載していたものの書き直し再録です。
その他いろいろうざいウンチクです。楽しんでいただけると嬉しいですー。
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# 「外郎売」について:04=大道芸としての「外郎売」

お芝居に出てくる「外郎」という薬そのものも、台詞の中の中国からやってきた「外郎」さんも
実在することがおわかりいただけたかと思います。

大道芸人である「外郎売り」ももちろん実在しました。

早口言葉を言い立てて人目を引いて薬を売ったことも間違いありません。
居合い抜きを見せて膏薬を売ったガマの脂売りと方向性は同じです。
宣伝文句やパフォーマンスと実際の効能との関連が、あるんだかないんだかビミョウなところも似ています。
まあ、大道芸の物売りというのはテレビでいえば番組とコマーシャルが一体化してるようなもんだと思いますから、ちょっとくらいインチキくさくてもアリなのでしょう。

大道芸といえば、「勧進帳」を思い出します。
弁慶が安宅の関で富樫に言われて読み上げる(読んでません)、あれね。
富樫が言うには「勧進帳、あそばされそうらへ」。「勧進帳やってください」と言っています。
ただ「読め」というんじゃなくて「やって」というあたりに、ちょっと違うニュアンスを感じます。
もちろん直接その動詞を言わないのは古典の常套表現ではあるのですが、やはり、そこにはただ「読んでみせろ」という以上の意味があるように思えます。

「勧進帳」というのは意味だけとれば「勧進(寄付)を依頼する文面が書かれた書類」なわけですが、
やはり、当時の市井において「勧進帳を読み上げる」という行為はすでにひとつの「パフォーマンス」だったのだろうなと思います。
お寺の由来や、寄付をしたらどんないいことがあるかや、自分がどんなに寄付集めに精進苦労しているかなんかを語って聞かせて楽しませる、という一種のショーだったのでしょう。
で、その代償として寄付を受け取りますが、この「寄付」で「生活」していたかたがたも多かったようです(例:「法界坊」)。

テレビがない時代は、街の物売りたちが「タレント」として身近な娯楽を担っていたわけです。


はなしは戻って「『外郎売』です、
もともと市井で評判だった「外郎売り」さんのパフォーマンス、
二代目団十郎がその様子を舞台に取り入れて大当たりをとった結果、「ういろう」はますます有名になり、
その定番家庭薬としての地位は不動のものになった。ということだと思います。

これはめずらしいことではなく、例えば文政期(1818〜1830)、「籐八五文(とうはち ごもん)」という薬売りがいたのですが、
その売り声が「籐八・五文・奇妙」というのを早いテンポでポンポン言ったんだそうです。
それがおもしろかったので当時の人気俳優の三代目尾上菊五郎が、
「東海道四谷怪談」の一場面にこの売り声を取り入れた、
ために「籐八五文」は一躍メジャーに。ということもありました。

本当に誰でも知っているくらいはハヤったようで、「籐八拳(とうはちけん)」という単語に、そのハヤリっぷりがうかがえます。
「とうはちけん」、ジャンケンの一種です。今は誰も知らないですよね。
戦後しばらくくらいまでは「ジャンケン」と同じくらい一般的な単語だったはずなんですが、あ、映画「幕末太陽伝」にも「とうはちけん」が出てきます。
今は変換すらしません…。
この名前はつまり「籐八五文」の売り声とテンポが同じだから付けられたんだそうです。

てくらい、歌舞伎に取り上げられるってことはその商品がメジャーになることだったのです。

とはいっても、今みたいにお金をもらってロコツにタイアップ的な宣伝をしたわけではないようです。
歌舞伎では、そのときどきで有名な店や商品をお芝居の取り込むことが多いです。
「助六」に出てくる三浦屋などが典型ですが、
こういうのもタイアップというよりは、お客さんサービスで時事ネタを取り入れている、という雰囲気です。

粋とシャレの時代ではございます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 19:32 | category: 「外郎売」について |
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