歌舞伎風俗通信

歌舞伎コラムです。
以前某雑誌に連載していたものの書き直し再録です。
その他いろいろうざいウンチクです。楽しんでいただけると嬉しいですー。
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# 江戸の遊郭:01「遊女」と「芸者」
とりあえず、「遊女」と「芸者」の違いを説明するために書きました。
明治以降の花柳界には「芸者」しかいないので、このふたつのイメージが「芸者」の名のもとに混在、
江戸の「遊女」と「芸者」の区別がわからなくなりつつあります。

江戸時代は「遊女」と「芸者」はまったく違うものだったのです。

細かいシステムや、街や時代による違いなどを書き出したらキリがないのでだいたいです。
キホン的に江戸の話を書いていますが、上方もシステムはだいたい同じです。上方の「芸者」は江戸より態度が大きく、あいそがなかったらしいです。

道中の宿場町については状況がもちろん違いますが、これは必要になったらまた書きます。

・遊女と芸者の違い
いわゆる「色を売っていた」のが「遊女」です。
「芸者」は、お座敷で歌ったり踊ったり三味線を弾いたり、お座敷トークをしたりするのが仕事で、
寝る時間になると帰ってしまいます。


・遊女
遊女に会いたいときは、一日、または半日いくらのランクに応じたお金を払ってお座敷に呼びます。
なのですが、これはお座敷でたのしくおしゃべりするための拘束料にあたります。エッチ代ではないのです。食べたり飲んだりの諸経費は別途です。それに関係者全員への祝儀、チップが必要です。

夜になって、おふとんで待っていても遊女がなかなか来なかったり、来ても「都合が悪い」だの「持病の癪が」だの言ってさせてもらえないことがあるのですが、無理強いしてはいけない決まりです。
遊女が、「させない」または「そもそも寝所に来ない」状態を、「振る」といいます。
もちろん、できなかったといってもお客が払うお金は変わりません。
まあ、あまりワガママ言ってるとお客さん誰も来なくなりますから普通は遊女もそれなりのサービスをしますが、「いたす」のは義務ではないのです。
祝儀(チップ)の払いが悪いケチな客や、お座敷の雰囲気を悪くするような客は、「振られる」可能性が高くなりますよ。もう来てほしくないし(笑)。

江戸時代の「遊女」を、今のソープランド等のイメージで見るのは、かなりムリがありますよ。
むしろクラブのホステスさんや、アイドルタレントのような面が強かったと思います。

お芝居の遊女のセリフなどで「(あの嫌な客は)何度振っても通ってくる」みたいに言うのは、
会うのを断っているのではなく、
会って、お座敷は付き合うのですが、その後「させない」のです。
客はお座敷で大金を使っても「できない」のですから、普通は嫌になりますが、
「なにがなんでも」と金にあかせてしつこく通ってきて、ますます嫌われる、というパターンです。

夜のアレコレは、あくまで「付加サービス」で、表向き、客が金を払うのはお座敷での宴会です。
これがとにかくお金がかかったのです。
お座敷代。料理代。料理は茶屋や揚屋では作られず、外から運ばれてきます。これを手配するのは出入りの若い男たちです。料理代の他に彼らに払う手間賃がかかります。
酒は揚屋や茶屋で用意します。料理と別料金です。
遊女の他に芸者を呼びます。幇間(太鼓もち)も呼びます。高い遊女にはお付きの禿(かむろ)や、ヘルプの新造(上方だと引船)という見習いの女の子も付きます。遊女のマネージャーにあたる「遣りて(やりて)」という年配女性もいます。
これらすべてのものについて、「商品」と、「それを手配した人」両方に代金を払うので、とにかく高くつくのです。

小さな岡場所の、安い店の安い遊女でも、
それなりのお値段でそれなりに宴会をして、
やはり、気に入らない客だと「振って」いたみたいです。

また、ひとつの街で客が指名していいのは、ひとりの遊女、と決まっていました。違う店に行くのもダメです。
行くたびにいろんな店に行って違う遊女と遊んではいけなかったのです。
「浮気」がバレると、遊女が客に制裁してよかったのです。髷を切り落とされた客の話があります。実話ベースのようです(笑)。
一度「なじみ」になった遊女と別れて違う遊女と遊びたいときは、客の側から一定の「手切れ金」を出さなくてはならないシステムでした。
遊女と客は恋人というか、擬似夫婦なのです。
なので、初回のお客さんと遊女は、必ず杯を交わします。これは「夫婦の固めの杯」なのです。
現代のように時間いくらでセックスするシステムとは、全体にずいぶん違うのです。

さらに安い店だと、完全にエッチのみのサービスになり。
もっとランクが下がると、路上売春になっていきますが、
ここでも「なじみ」というシステムはかなり大事にされました。
「決まった遊女のところにマメに通う」のが、当時の「遊び」の基本姿勢です。

当時の売色は他にもほんとうにいろいろパターンがあったのですが、ここで網羅してもしょうがねえので割愛です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 20:32 | category: 江戸の遊郭 |
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