歌舞伎風俗通信

歌舞伎コラムです。
以前某雑誌に連載していたものの書き直し再録です。
その他いろいろうざいウンチクです。楽しんでいただけると嬉しいですー。
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今月も先月につづいて
『夏祭浪花鑑』
なつまつりなにわかがみ の話です。
だって夏だもん。
あ、イラストは一寸徳兵衛です。




さて、イラスト関係なく、この芝居のなかで俺個人は、このじいさんが一番かっこいいと思うヒトについて書きますよ。
若い、イキのいい主人公やその仲間をさしおいて、とにかくシブい。でもって、おしゃれさん。

名前は、釣船三婦 (つりふね さぶ)

ちなみに“三”や“婦”は江戸時代、仮名と同じように使われていたので、文字自体にはイミはないです、「男なのになんで「婦」?」とか悩まなくてオッケーです、ひら仮名でさぶちゃん。
「釣船屋」と書かれているので、釣り用の船をレンタルしているのかと思ってしまいますが、
実際には九州との船便交易を扱っている、今で言うと運送会社の社長ですよ。近隣ではけっこうカオが効くかたです。

このかたについてもっともで有名なエピソードは、
ム所帰りでヨレヨレのカッコの主人公団七に、三婦さんが新しいキモノを持ってきてあげるんですが、フンドシを忘れたから、自分が締めてるのをこっそりはずして渡す、というお下品かつ笑える場面。
上方産の丸本独特の、なにげな下ネタ。ノリがよくてがいいやね。
というか団七役のヒトが裏で着替えてるあいだの「つなぎ」のエピソードだから、歌舞伎で作った「入れ事」ですけど。浄瑠璃本にはこの場面ないです

でも丸本っぽいノリで好きです。
三婦さん、片耳にいつも小さい数珠を下げているのがイヤリングみたいです。
もともと彼はケンカ三昧の荒くれおっさんだったのが、最近はふっつりバカをやめて(大人になったんですね)、「今じゃ念仏三昧さ」と言って数珠を持ってるのです。
でもそれをこれ見よがしに大きいのを持つんじゃなくて、小さいのをちょこっと耳にかけておく、というのが気が利いてるなあと思います。
こういうちょっとしたおしゃれさとか、団七たちのメンドウをみてやる器の大きさとかに、それまでの人生しっかり気合い入れて生きてきた男の 年とってからのヨユウを感じます。

年とってから妙にギラギラしてモノほしそうだったり、やたらいばりたがったり、というのはなんか自信のなさの裏返しのようでかっこ悪いですよね。
この三婦さんのヨユウの裏にはやっぱり、いざとなったらまだ腕力で勝てる、という自信もあるようです。

アニキ、どころかオヤジ、でもない「老け」の役柄なんですが、年齢を超えた、なんていうか実のある男っぽさを感じてしまいます。
このじいさんが後ろで見守ってるから、どちらかというと(というかかなり)小粒で頼りない主人公たちがバタバタ走りまわるこのお芝居を、
われわれは安心して楽しめるんだと思います。

年とったときのコトを考えてわれわれも、…年金払っとくのも大事だけど
やっぱり、なんといっても三婦じいさんみたいなヨユウかましたシブイじじいになりたいですよね。
そのためにも、それまでの人生に自信を持って満足できるように、今、キリキリ生きていかなきゃいけないなってカンジです。気合いだね。

とにもかくにも、三婦さんがかっこよくないとこの芝居、おもしろくないのさ。
やはり、江戸社会は大人の社会ですよ。

では来月、涼しくなったら秋らしいネタで…。



作品解説です=こちら=


JUGEMテーマ:イラスト、、★

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