歌舞伎風俗通信

歌舞伎コラムです。
以前某雑誌に連載していたものの書き直し再録です。
その他いろいろうざいウンチクです。楽しんでいただけると嬉しいですー。
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# =8:『やっぱり男はカラダが資本』の巻=
『夏祭浪花鑑』(なつまつり なにわかがみ)。
夏になるとけっこうどこかでやってるかも、人気狂言です。



タイトル通り大阪の街が舞台です。
大阪のゴロつき兄ちゃんが主人公のハナシですが、このテの荒くれ男の似合う上方の役者さんが減った関係で(最後が三代目実川延若あたり)、



最近は東京で、江戸ことばで、東京ふうの演出でやるコトが多いようです。

いわゆる『夏芝居』ってやつです。
夏というのは、昔はエアコンなかったから芝居小屋の中って、もうムシ風呂のように暑くて、
お客さんも大変だったけど、お芝居してる役者さんはますます大変だったワケですよ。
それであんまり気合いのはいってない出しものが多かったらしいのです。
売れてる役者さんは夏の土用のころは仕事しないで別荘で優雅にバカンスするのがステイタスだったらしいですし。

だから派手な演出で人目を引いておいて、おハナシはそこそこってお芝居が多かった、その中で、
やっぱ、名作ってのは何本か残るもんで、これもそのひとつです。
これは文楽から入ってきたいわゆる『丸本もの』ってやつだから、ストーリーがしっかりしているのが強みです。

ホントは主人公の、この団七九郎兵衛(だんしち くろべえ)はワタクシ、あんまり好きじゃないのです。
ワキ役のお兄ちゃんの一寸徳兵衛(ちょっと とくべい)が好きなので、描くつもりだったんですが、
死んじゃった辰之介の団七の写真があったので描きます。かっこいい。
徳兵衛こんど描きます。

団七の義父の義平次が、ベタベタにせこい悪党じじいなのです。
本当に上方の出し物らしいベタベタなイヤさ(笑)。
団七がかくまってるお姫様(丸本ものだから、お家騒動がからむのがお約束)を義兵次がだまして連れ出して、売り飛ばそうとするのを、
団七が追いかけて、「俺が持ってる金をやるから」となんとか大ウソこいて助けるんです。
で、そのアト、当然金持ってないのがバレて、あやまるんだけど許してもらえなくて、
とうとう逆ギレして斬っちゃう。ここが見せ場。
深夜の裏通りのぬかるみで、団七はお侍じゃないのでヒトの斬りようなんて知りませんから、泥まみれ血まみれでめった切り。

悪趣味の極地ですが、キレイな動きがついているので、
浪花の毒の華ともいうべき、やっぱり名場面なのです。

で、殺したアト怖くなって逃げていく。
…なんというか、主人公のやるコトとしてはナサケナイです。

普通のお芝居はこういうのがワキにひとりいて、もうちょっとピリっとしたのが主人公なもんだと思うんですが、
でもまあそのイレギュラーさがこの作品の魅力です。

通しで読んで見ても、マジメで責任感もあるし、義理もかかさない、いい男なのですが、どこかこう、行き当たりばったりというか、抜けてるというか。
なんか、やっぱり、どうやってもイマイチナサケないのです。奥さんしっかりしてるのになあ。

こういう主人公らしくない、頼りないかっこ悪さが目につくこのキャラクターの、本質的なミリョクは、
思うに、その「肉体性」にかなりのウエイトがあると思います。
つまり、ケンカが強くて男らしく、たくましい、という、雄としてのグレードの高さみたいなモノを視覚的に表現できることがかなり大切というか。

見せ場の「殺し場」も、脱ぎますから、カラダのきれいさは必須条件ですし。

芝居がうまくてもスタイルのよくない役者さんより、ちょっと大根でも カラダのいい若手の兄ちゃんがイキオイでやってくれたほうが見ていて楽しい、
もともとはそういうお芝居だったんだろうなと思います。

というか、夏芝居って、つまりそういうモノです。
若いモンにカラダはらせといて、実力派の年寄りはゆっくり休む
。夏は暑いもんね。
ではまた来月。


作品解説です=こちら=



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