歌舞伎風俗通信

歌舞伎コラムです。
以前某雑誌に連載していたものの書き直し再録です。
その他いろいろうざいウンチクです。楽しんでいただけると嬉しいですー。
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今回の演目は『二月堂』

お彼岸が近いのでお寺さんの話です。
みなさんもできるだけお墓まいりとかしましょう。後生のためだし…。

正確には『良弁杉由来』 ろうべんすぎの ゆらい というお芝居の第三幕ですよ。
古くさいお芝居の印象がありますが、じつは明治の作品です。

東大寺二月堂が舞台です。
この「二月堂」の前の場面、小さい子供が鷲にさらわれる「志賀の里」、母親が狂乱してさまよう「物狂い」はあまり取り上げられず、この「二月堂」の幕だけが頻出、とても有名です。

というか、前二幕出すとメインの「二月堂」の幕の前半部分、年老いた母親の「渚の方」(なぎさのかた)が身の上話をするシーン、語る内容が、それまで見た部分と完璧に重複するのでタイクツ、寝る。
そしで良弁僧正の「では、あなたはもしや・・・!!」とかのセリフでジャストタイミングで目覚めて、続きを見る(笑)。

まあとにかく、鷲にさらわれた子供は二月堂の前のの杉の木にひっかかって命をとりとめ、東大寺の大僧上に拾われ、教育されてりっぱなお坊さんになります。
そして息子を探して旅をして乞食になってしまった母親と30年ぶりに再会するのです。
今やえらいお坊さんになった息子ですが、母親を大切に拝み、自分の輿に載せてお寺に連れていきます。
日本の母子の情愛が伝わってくる美しくも御リヤクたっぷりのお芝居。
歌舞伎座の前オーナー、故、大谷社長がこよなく愛したというハナシも本当(らしく)きこえます。

「志賀の里」を出すとき、さらわれる子供の役は大抵いい役者さんの小さい息子さんです。やはりみんな上手ですよ。そして30年くらい待つと、成長して「二月堂」の幕の大僧正をやってくださいます。リアルタイムで成長。
見物するわれわれも、リアルタイムで母親気分を味わえます(おっさんでも母親気分)。

東大寺二月堂のリアルなセットをバックにお坊さんがずらりと並ぶ、重厚で格調高い舞台、
その中でもひときわ目立つこのお芝居のミモノは、やっぱり、
主演、良弁大僧上の、金ピカ、豪華な衣装でしょう。
金糸銀糸で刺繍したそれはそれはありがたそうな袈裟をはおり、法衣は高僧の定番、緋の衣。コーディネートもバッチリです。

良弁(ろうべん)は天平のころ実在した名僧で、東大寺の建立にも尽力した人物です。
“良弁杉”も二月堂の前にちゃんとあります。
そういうえらいお坊さんの役というコトで昔はベテランの役者さんがやることが多かったようですが、最近は比較的若い、キレイな役者さんがお演りになるようです。
徳の高いえらいお坊さんの親孝行という図式から、心の美しい若いお坊さんの母親への情愛、という視点に演出が変化しているのではないかと思います。
そのほうがキレイな衣装も引き立つし、見ていて楽しいとわたくしも思います。
設定からいっても30代半ばのはずですし。

近年では中村梅玉さん、片岡孝夫さん(現、仁左衛門)なんかがよかったと思います。なにしろ衣装が本気で金ぴかですから、ハンパな役者さんがやると下品に見えるのです…。

お坊さんの衣装って、帯のないずるんとしたシルエットで、落ち着いた印象で、とてもかっこいいです。
頭をそってるのもセクシーですよね。
今は何をカンチガイしてるのか髪の毛をはやしたお坊さんが多いですが、 嘘でもいいからストイックなみかけだけでも繕ってくれ、といつも思います。

ストイックな雰囲気に、豪華な衣装、現世の欲を感じさせないからこそ、金ぴかの衣装も、金ぴかの本堂も、純粋に美しく、極楽の有様を写したかのように我々の心を打つのです。
ほんとウソでもいいので…。

ところで、

本文を読んでいただくとお気づきかもしれませんが、良弁僧正が、東大寺の建立を仕切ったのです。
つまり、
良弁の子供の頃、東大寺ありません…。

舞台でまことしやかにでやっていることを露信じてはいけないと肝に銘じたくなるエピソードですね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 21:46 | category: 歌舞伎風俗通信 |
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