歌舞伎風俗通信

歌舞伎コラムです。
以前某雑誌に連載していたものの書き直し再録です。
その他いろいろうざいウンチクです。楽しんでいただけると嬉しいですー。
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# 大江戸男色事情:01
夜も遅くなってきたのでヤバそうなネタ行きます。

まあ、吉原とか深川とかの中途半端なウンチクならそのへんで読めると思いますし、ちょっとレアなネタということで。
それなりに下な話も混ざっていますので、そのへんはご容赦ください。
あと、「ねりぎ」の話はそのへん探せば読めると思うのでここでは書いてません(書け)。

「江戸時代は同性愛が公認だったって?」
と過去何度かヒトに聞かれたことがあるので、そのへんのビミョウな雰囲気について書きます。ていうか長いぞ。申し訳ありません。。

あ、チナミにタイトルの「男色」ですが、正しい読みは「なんしょく」ね。「だんしょく」ではありません。雰囲気ずいぶん違うでしょ。

↓見出しもくじ付けました。あとでリンク貼ります。

= 1: 序 =
= 2: 衆道文化=
= せっかくなので若衆茶屋ネタもう少し=
= 上方の「若衆屋」=
= 3: 同性愛文化 =
= 4: 役者世界 =
= 5: 芝居茶屋とお相撲のはなし =
= 6: 市井の同性愛 =
= 7: いろいろ=
= 8: まとめ=


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# 大江戸男色事情:02「衆道文化」
= 2: 衆道文化=

ここで、江戸時代の「同性愛(というかホモセクシュアル)」には、二つの面があることを見落としてはなりません。
ひとつは、つまり、有名な「衆道」です。
一般に「江戸時代は同性愛が盛んだった」と言われる根拠は、「衆道」の存在ですね。
手に入りにくい西鶴の「男色大鏡(なんしょく おおかがみ)」を引っぱり出すまでもなく、「好色一代男」にも、近松の「心中万年草」にも、さらに歌舞伎十八番にも、衆道のシーンは出てきます。
衆道関係の本も、プロの若衆たちの評判記も、若衆歌舞伎の頃の役者評判記も残ってますしね。

ただ、「衆道」でたいせつなことは、恋愛対象になるのは必ず「前髪の少年」だということです。
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# 大江戸男色事情:03「若衆茶屋」
= せっかくなので若衆茶屋ネタもう少し=

・寛延・宝暦のころ、1700年代半ばの、ちょうど江戸の中頃ですが、そのころの「男色楼(なんしょくろう、なんだかエロい響き)」について。

・一番多かったのが「芳町(よしちょう)」です。 

場所で言うと銀座線人形町駅の神田方面の出口出たあたりです。

芳町は芝居小屋が二つ並んでいたので「二丁街(にちょうまち)」と呼ばれた芝居街、日本橋の、堺町(中村座があった)、葺屋町(市村座があった)、のすぐ南側にあります。
チナミに、この東横が「元吉原」、浅草に移る前の吉原があった場所です。
この当時数件の置屋、揚屋、茶屋が並び、若衆100人以上いたそうです。



寺稚児



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| comments(0) | trackbacks(0) | 22:25 | category: 大江戸男色事情 |
# 大江戸男色事情:04 「上方の若衆屋」
=上方の「若衆屋」=

上方には、江戸の芳町のような「若衆屋」だけの色町はなく、フツウの遊女街にそれぞれ1、2件づつ混ざって若衆屋があったようです。
また、その場で「若衆」を買ってお座敷で遊べる店はなく、「置屋」だけでした。
遊女のいるフツウの「茶屋」に「若衆」も呼ばれていったようです。

 *一応、遊郭お店用語
 揚屋=お座敷だけ、遊女はいない、「置屋」から遊女を呼んで遊ぶ。
 置屋=お座敷がない、遊女を抱えて住まわせている。遊女は「揚屋」や「茶屋」に呼ばれていく。
 茶屋(遊女茶屋)=お座敷もあり、店によっては抱えの遊女もいる。置屋から遊女も呼べる。
 一般に「揚屋」のほうが「茶屋」より店としてのランクは上だが、揚屋は高いのでだんだん衰退しましたよ。


チナミに今の売色と違って「茶屋遊び」は「エッチ」だけが目的ではなく、楽しくお酒のんでおしゃべりしたり踊ったりも大切でした。しかもいざベットインしても「体調悪いし」でさせてもらえないことすらありました(ひどい・・・)。
そうやって遊女と遊ぶ、同じ「茶屋」に「若衆」も呼ばれて行ったわけです。
しかも上方の「若衆」は、全員「女装」だったのです。区別着きません。

あと上方だと、「若衆」は全て、少なくとも形の上ではどこかの役者さんのお弟子だったようです。そういう決まりになっていたみたいです。

五代目松本幸四郎は上方(京)の生まれでハタチ近くなってから上京し、はじめ五代目岩井半四郎(女形)、後に五代目団十郎の弟子になって二枚目系の悪役で名をはせたかたですが、
京では「若衆」をしていたのは事実です。
これが「一応役者らしいことをしながら売色も」だったのか「役者の弟子はカタチだけで、もっぱら売色」だったのかがビミョウなところなのです。いいけど。

チナミに五代目団十郎は、息子の六代目をそっちのけにしてこの幸四郎をかわいがりました。
結果として五代目の死後、この二人はむちゃくちゃ仲が悪かったのです。てか幸四郎がものすごく六代目団十郎をいじめたらしいのです。
六代目団十郎は幸四郎のいじわるをやりかえすのには成功して、幸四郎よりも格上の役者にはなれたのですが、
役者そのものがイヤになって、早くに引退したのでした。
まあ、父親の五代目団十郎と幸四郎とは当然なんかあったろうと思われますし、「役者」というか、この世界の中の同性愛的な雰囲気がイヤになったのかもしれないなと想像します。
「大の男が顔におしろい塗ってるのがもうナサケなくてイヤ」とか言ってたらしいですよ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:33 | category: 大江戸男色事情 |
# 大江戸男色事情:05「江戸の文化の中の『同性愛』」
= 3: 同性愛文化 =

そして、いわゆる、今日びも存在するような普通の「同性愛」についての記述となると、一気に見つからなくなるのです、江戸の本。
「東海道中膝栗毛」で、弥次さん喜多さんが「モト男色関係だった」というエピソードはわりと有名なようですが、
これは、非常な人気作だったので何年も続けて出版された「弥次喜多」シリーズの中程、第五巻あたりの冒頭で、番外編として過去の二人の経歴が描かれたのですが、
その中で「しゃれ」というか、受けねらいの「ネタ」として書かれただけです。パロディに近いです。
作中の正しい意味での基本設定ではありませんよ。

しかも一応喜多さん(若い方)は旅回りの役者が抱えていた「若衆」という設定ですよ。その役者の名前が「鼻水垂四郎(はなみず たらしろう)。 真面目にやる気ありません。
そして、ストーリーの中で喜多さんが前髪剃った時点でイキナリ全ての関係も恋愛感情もお互いチャラに、ありえね〜。
「膝栗毛」の本編作中に、ふたりの男色関係を匂わせる記述は皆無です。むしろ「ぺっぺっ汚ねえ」みたいなかんじです。

同性愛ネタは、こういうかんじの「笑いを取るネタ」系か、または「スキャンダル」系の扱いになってしまうように思います。
しかもそういう場合ですら絶対に、「受け」側が女装しているか、若衆であるかが条件となります。
お芝居の「三人吉三巴白波(さんにんきちざ ともえのしらなみ)」とか「傾城忠度(けいせい ただのり)」とかですね。
書くヒトが明らかにそっちのヒトだったりするので(河竹黙阿弥とか(←断言))、そういう感覚で見れば確実に「同性愛」やってるわけですが、異性愛者の感覚で見たときに「異性愛」とダブって見えるように絶対オブラートがかけてあるというか。
と言いきるほどたくさん古い本読みあさったワケではありませんが、普通に手に入る本やお芝居にはまず、「同性愛」は出てきません。

つまりよっぽど「稀少本」と言われるようなのを当たらないと逆言えば見つからないのではないかと。

「春画」についても、江戸時代はモロ出し画像がバンバン出回っていた時代ですが、同性愛モノの性交をモロ出しで描いた春画は、殆どありません。これは林美一先生がおっしゃってるから確か。

こういう状態は、今の出版界の中での同性愛関係の出版物のマイナーさと結局同じだと思います。
一般的な消費需要になじまなかったということは、つまり、「認められていなかった」ということです。
「同性愛」という概念をどのレベルでくくるかにもよりますが、
「同性愛者にとっても楽しいモロモロの文化」が存在したというだけで、「同性愛文化」が一般的だったわけではないということです。
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:39 | category: 大江戸男色事情 |
# 大江戸男色事情:06「役者世界」
= 4: 役者世界 =

古今東西、同性愛者が多いのは「役者世界」と相場が決まっているようですが、
特に日本では、男だけでお芝居してましたから、同性愛のニオイが当然ものすごくするわけです。いろいろネタになってます。
でもこれも、「女形(おんながたと読むのよ、おやま、じゃなく)」のほうが「女装した状態で」 という但し書きが付くから受け入れられたのだと思います。「若衆」文化とノリは同じです。

実際に七代目団十郎とか三代目三津五郎とか(名指しかい)、あの世界有名どころでも「モノホン」は多かったのは確かなんですが。

七代目団十郎は奥さんを何人だっけ、調べるのめんどくさい、9人とか11人とかもらったので、現代に置いては「女好き」の烙印を運良く押してもらってますが、ようするに「何度ヨメもらってもうまくいかなかった」だけのことだと思います。
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| comments(0) | trackbacks(0) | 22:55 | category: 大江戸男色事情 |
# 大江戸男色事情:07「芝居茶屋とお相撲」
= 5: 芝居茶屋とお相撲のはなし=

もちろん、芝居町(しばいちょう)では役者の売色が行われていました。
幕府が「吉原」と「芝居町」を「二大悪所」として厳しく監視したというあたりで、すでに実体は伺えるかと。

役者は「芝居町」、芝居小屋のある町の区画の中にしか住めないきまりでした。だから「売色」もだいたい「芝居町」で行われたのです。
まあ、金のある有力な役者さんは「別荘」を作って好き勝手な場所に住んだので、これは有名無実化した規則ですけど。
というわけで、芝居町での売色が、男色売春の需要を一手に引き受けた結果、「若衆茶屋」が衰退した、という見方もできるかもしれません。
あ、「一手に」じゃないですね、お相撲もありますね。
どちらも「茶屋」があるのがポイントです。



相撲取り
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| comments(0) | trackbacks(0) | 23:10 | category: 大江戸男色事情 |
# 大江戸男色事情:08「市井の同性愛」
= 6: 市井の同性愛 =

結局、「異性愛者」にとって「同性愛者」というのは、いつの時代にも「理解不能ななにか」だと思います。正しい意味で「認知される」状態というのは考えにくいです。

ただ、数でいえば多かったろうと想像します。なぜかというと当時の大都市では、親元を離れた若い者はキホン的に「集団生活」だったからです。
職人であれ、お店(おたな)への奉公であれ、ヤクザさんであれ。
おんなの人も、商家の下働きやお屋敷への腰元奉公が多いですから集団生活です。
一人前になって男女ペアにならないと普通は独立しては住みません。

そして、結婚したくなければいつまでも「集団生活」していればいいわけです、衣食住は保証されてます。男ばっか、女ばっかで。いやん。
同性愛者があまりうるさいこと言われずに独り者でいるのはわりと簡単だったと思います。
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| comments(0) | trackbacks(0) | 23:25 | category: 大江戸男色事情 |
# 大江戸男色事情:09「いろいろ細かい用語」
 = 7: いろいろ=

あんまり関係ない内容も含まれます。思いついたことてきとう。
トピックスってことで。

近世において、公的に認められた制度ではなくても、世間的に殆ど公認され、まかり通っていた風習はいろいろありますが、非官許遊郭での売色とか。
「妾制度」もそのひとつでしょう。
まあ現代も存在しますが、大正ごろまではかなり堂々と行われていました。

ところで、平安期が「一夫多妻」と誤解され、なんだかいまだに学校でそんなこと教えてるらしいですが、いいかげんにしろですが、その実体も、
「北の方」、つまり寝殿造りの北の対に住むのが「正妻」ですよ。
あとは「お局」、つまり東の対や西の対、またはその間に作られた局に住む、文字通り「側室」です。脇の部屋に住む人。
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| comments(0) | trackbacks(0) | 23:39 | category: 大江戸男色事情 |
# 大江戸男色事情:10「まとめ」
=8: まとめ(いちおう)=

だから、江戸時代のひとびとの同性愛観というのは、たぶん、

・「衆道」という異性愛者の性風俗と混同している。
同性愛者でも「前髪」を相手にしているかぎり「衆道好きの異性愛者」と区別できないので、ある意味寛容に見ている。
・「同性愛」そのものについては現代よりは日常的に見聞きしたろうけど、関係ないからムシ、黙認。
そもそもあまり理解していないから、「衆道」との混同もあり、おじさんが美少年を襲うと思いこんでいる。

といったところだと思います。

「自己責任(笑)で勝手にやってるぶんには干渉しませんが、見えないところでやってくださいね」というスタンスだとすれば、今の社会とあまり変わらない気がするんですよね。

なんか、長いワリに面白みのない結論ですが、そんなもんでしょ、おなじ日本のちょっとだけ昔のことなんだしいい。
全部読んでくださったかたありがとうございます。





=おわり=
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