歌舞伎風俗通信

歌舞伎コラムです。
以前某雑誌に連載していたものの書き直し再録です。
その他いろいろうざいウンチクです。楽しんでいただけると嬉しいですー。
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# 中村富十郎さん死去…
好きだったのに…。
富十郎さんは、若いころ、戦争に行く前は女形(おんながた)をなさっていたからというのもあると思いますが、
立ち役をなさっていても、いかつい重厚な演技の中にもどこか優しげな丸みがあり、それが他の役者さんにはない独特の魅力になっていたと思います。
弁慶や濡髪ができる骨っぽい役者さんでありながら、所作が得意だったのも女形出身だったからでしょう。
狂言由来の演目など、コミカルなお芝居も魅力でしたが、これも踊りの名手ならではの、形を崩さない品格のよさがあってこそだと思います。

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# 吉原仲ノ町の桜
吉原仲ノ町の桜についてです。

歌舞伎で吉原の場面を見ると、かならず出てくるのが桜です。吉原の華やかさを引き立てる最高の舞台背景ですが、
じつは、吉原仲の町に「桜並木があった」わけではないのです。
吉原の桜事情を書きます。

あの桜は、じつは毎年花の季節だけ植えて、花が終わると木ごと抜き去ります。毎年です。
おそらく専門の「木作り(造園業者)」のかたがまた専用の庭に植え直して、翌年咲かせて、また吉原に植えるのだと思います。
チナミにこれは寛延2年(1749年)から、江戸末期まで、100年以上やっていました。たぶん明治以降もやっていたかと思います。バブリー。



描いたのは「吉原雀」です。背景描いてないですが(笑)。
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# 幸四郎と団十郎のことを書いてみる

yahooトップに「染五郎と海老蔵」どっちが格上?みたいな記事が上がっていて笑ったのですが、
そんなん比べるまでもありませんがな。
とはいえ、せっかくなのでちょっと書きます。
当代の団十郎の襲名の前後の歌舞伎界のことです。
役者さん同士の確執なんていうとゴシップじみていてイヤな話ですが、
しかも当時は自分もそうとう子供だったので、ぼんやりと感じた程度なのですが、大事なことのような気もします。
当時の雰囲気を見て実感していなかったかたには、今からだとわかりにくいこともあるかなと思うので
中途半端ですが、資料的に書き残します。

幸四郎の襲名が昭和56年(1981)。
お父さんの先代幸四郎が白鳳を名乗り、息子の金太郎くんが染五郎にと、
三代そろっての襲名で、りっぱな襲名披露でした。
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| comments(2) | trackbacks(0) | 01:57 | category: 歌舞伎風俗通信 |
# 「外郎売」の衣装のそろえかた
わりと、ちょっとした発表会などで「外郎売」を演るかたがいらっしゃるようで、
衣装どうすればいいかという質問を前のサイトのBBSで何度か受けました。

質問:ところで、外郎売りの衣装はどんなのがいいのでしょう?歌舞伎の中の衣装も知りたいのですが、比較的容易に手に入るか、もしくは、裁縫があまり得意ではない人間にでも作られるようなものでとなるとどの辺までゆるせるかっていうあたりのアドバイスなどなど、できればお聞かせ願えないものかと。

おお、衣装ですね。
古い歌舞伎の衣装はこんなです。
今もだいたい同じ感じです。

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| comments(0) | trackbacks(0) | 11:48 | category: 「外郎売」について |
# 女衒の話をしてみる
これもサイトのbbsで質問いただいたものです。
需要あるかわかりませんが上げてみます。

質問:江戸時代の女衒が女性を売買したときの金額を調べています。
文献を色々と漁っているのですが、花魁の揚げ代なんかは書かれているのですが、
少女が女衒に買われてくる際の金額を書いた資料が見つかりません。

*****
一応、見つけた資料
正徳元年(1711)紀伊の国の姉妹が、まず商家の下働きとして、セットで(おい)十五両で買われます。
ところがまだ子供すぎたので、江戸のお店の主人が「いらん」と言い、買ってきた手代ごと追い出します。
困った手代は姉妹を新吉原の遊郭に百五両で売ります。
新井白石の「折たく柴の記」の記述なので信憑性は高いです。原本残ってますし。
少女姉妹の年齢は書かれていませんが、商家の下働きには使えないていどの幼さです。

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| comments(0) | trackbacks(0) | 18:10 | category: 江戸のうざいウンチク |
# 「外郎売」について=「音韻論」=

うにうにさまにご投稿いただいた文章のまとめです。
非常に興味深いのでご覧ください。
 ※の部分はワタクシの注です。うにうにさまにはチェックしていただいております。


・まず予備知識として、中国の音韻学の用語を少々解説しておきます。

伝統的な音韻学では、中国語の音節は 「声母+介音+韻母+韻尾」 という構造をしている、とみなします。

・声母=音節の冒頭の子音。
・介音=半母音[w], [j]
・韻母=母音。
・韻尾=音節末の子音、
(現代では[n][ng]の2つ,かつては(今も方言によっては)さらに[m][p][t][k]が加わる)。
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| comments(0) | trackbacks(0) | 19:50 | category: 「外郎売」について |
# お芝居の「外郎売」について  
     
まあ、享保三年に二代目団十郎が初演したとか、
あまりに人気があったので見物がみんなセリフを覚えてしまい(このへん江戸初期においても市井の識字率がかなり高かったという裏付けになると思います)、
大阪で出したとき、見物のひとりが先にセリフを全部言ってしまったので(やはり新興都市である江戸の役者への対抗意識とかあったでしょうね)、団十郎、こんどは後ろから逆に言ってみせたとか、
そこらへんはわりと有名なので流しとくとして、

『歌舞伎十八番』のひとつにこの『外郎売』は入っておりますが、『歌舞伎十八番』自体、ストーリー的に首尾一貫したお芝居を18本、というものではなくて、むしろ市川家の荒事のいくつかのパターンを分類、整理した観がございますから、
この『外郎売り』も、長い狂言(お芝居)である「曽我もの」の一場面として前後の連関はあまり考えずに楽しむ、一種のショーと思えばわかりやすいかと思います。

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| comments(0) | trackbacks(0) | 19:37 | category: 「外郎売」について |
# 「外郎売」について:04=大道芸としての「外郎売」
もちろん大道芸人である「外郎売り」も実在しました。

早口言葉を言い立てて人目を引いて薬を売ったわけで、居合い抜きを見せて膏薬を売ったガマの脂売りと方向性は同じです、関連があるんだかないんだかビミョウな宣伝内容。
まあ、大道芸の物売りというのはテレビでいえば番組とコマーシャルが一体化してるようなもんだと思いますから、ちょっとくらいインチキくさくてもアリなのでしょう。

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| comments(0) | trackbacks(0) | 19:32 | category: 「外郎売」について |
# 「外郎売」について:03=お菓子の「ういろう」=
上にも書いたように、初代「陳宗敬」さんの息子の「大年宗奇」さんが、「お菓子のういろう」のレシピを作ったようです。

今の「練羊羹」の製法が江戸市中に広まったのが寛政(1700年代の終わり)のころらしく、江戸中期です。室町時代にあって「ういろう」が今売っているものに近い品質だったとしたら、
「小豆を煮てアクを取り、裏ごしする」「煮溶かして精製した寒天で固める」という高等技術を駆使した夢のお菓子だったということになります。
昔の羊羹は煮てつぶした小豆に砂糖と小麦粉か山芋を混ぜて、蒸しただけのもののようです。それはそれでおいしそう。
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| comments(0) | trackbacks(0) | 19:28 | category: 「外郎売」について |
# 「外郎売」について:02=「外郎」の由来=       

 
「外郎(ういろう)」、意味は字のまんま「外の男(人)」です。

中国ではお金を出して官職を買うシステムがあったそうで、定員外のそのお役人を「外郎」と呼んだモヨウです。
読みが「がいろう」じゃなく「ういろう」なのは、
つまり「唐音(とういん)」てやつです。

「唐音」について詳しく書きすとキリがないんですが、
この「唐」は「唐という国名」ではなくて「外国一般」を指します。
平安時代、遣唐使を廃止するまでに伝わった古い漢字の「読み」は完全に「日本語」として認識されていたので、室町以降に伝わった元、明、清、風の漢字の「読み」を、「外国風の読み方」ということで「唐音(とういん)」と読んだのです。
JUGEMテーマ:歌舞伎


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| comments(0) | trackbacks(0) | 19:25 | category: 「外郎売」について |
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